日本最大の私学である日本大学の日大理事長の田中英寿理事長(74)が2021年11月29日、所得税法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕され、田中氏は1日、理事長職を辞任した。同日、大学側に辞任の意向を示し、日大が臨時理事会で辞任を承認した。に「日大のドン」による5期13年にわたる長期体制が終わる。

特捜部は10月7日、日大理事での井ノ口忠男取締役と大阪市の医療法人「錦秀会」の籔本雅巳前理事長=安倍晋三元首相の友人でゴルフ仲間=を背任容疑で逮捕していた。田中氏は両氏からのリベートなど約1億2千万円の収入を隠し、約5300万円の所得税を免れた疑い。田中容疑者は現金受領を否認しているという。東京地裁は1日、田中容疑者について、10日間の勾留を決定した。

特捜部と東京国税局は2日、日大本部と田中氏の自宅を家宅捜索した。田中氏の自宅へのガサは3回目だ。

田中氏は「脱税はしていないが、こんな環境になってしまったので、辞するしかない」と説明しているというが、無実ならやめる必要はないと思う。理事長を兼任することになった加藤直人学長以外の理事も辞表を出した。

田中氏は体育会系人脈を作り、日本大学の子会社の「日本大学事業部」の事業を中心に大学を私物化した。

田中氏は理事長就任5年目の13年の大学の制度変更で、当時、学内序列は選挙でえらばれる「総長」がトップだったが総長のポストをなくし、代わりに、権限を教学面に限定する「学長」を設け、幹部の人事や運営権を一手に担った。

文部科学省側が大学幹部に対し、私学助成金(国庫補助)のカットなどをちらつかせて田中氏の退任を迫ったようだ。

読売新聞によると、田中氏の説明のないままの退場劇に、学生らからは憤りの声が上がった。<千代田区のキャンパス近くを歩いていた経済学部2年生(20)は「大学トップが逮捕されるなんて信じられない。辞任は当然」と語気を強めた。危機管理学部3年生(21)も「学生に何の説明もないまま辞任するのはおかしい」と批判し、「学生のことを第一に考える人がトップに立ち、クリーンな運営と信頼回復に取り組んでほしい」と訴えた。>

<文科省はこれまで日大側に対し、徹底的な調査の実施や、公の場での説明責任を果たすよう4回にわたり指導。11月30日には加藤学長らを同省に呼び、直接求めていた。ある同省幹部は「学内の不満も高まり、自分が辞任しなければ組織がもたないと判断したのだろう」と田中容疑者を突き放した。>

京都新聞は1日の<日大理事長逮捕 資金の流れ徹底解明を>と題した社説で、こう述べている。

<学生らの授業料や国の補助金から成る大学の運営資金が不正に還流していたのなら許されない。だが、一連の事件発覚から田中容疑者をはじめ大学側は記者会見などで説明していない。(略)日大は学生約6万6千人を擁する。昨年度は私学助成金90億円が交付されたが、本年度は保留となっている>
<「異例の『長期政権』が統治機能をゆがめ、大学の私物化につながった」。日大関係者は、「日大のドン」の逮捕に口をそろえた。>

https://news.yahoo.co.jp/articles/9d9f228ea6cd51e1775830e3205622f478f33772

京都新聞の主張は的確だが、京都新聞本社と御所を挟んで北側にある私学で2番目に古く、最大のキリスト教学園である学校法人同志社の犯罪、不正について、京都新聞は真面目に取材、報道・論評をしていない。京都新聞以外の新聞社も同志社が広告スポンサーであることから、同志社大学の不当な大学運営、犯罪、腐敗 をまともに報じない。

日大の闇を見ると、日大は東の同志社であると私は思う。

日大は相撲部など体育会系の人脈が大学を私物化したが同志社大学は腐りきった日本基督教団の牧師と対米隷従の新自由主義者が異例の「長期政権」で権力を握り、縁故主義、正規教職員のエゴイズムで、大学を私物化している。

私を解雇した時の理事長は水谷誠神学部教授。学長は村田晃嗣氏(法学部教授、NHK経営委員会委員長代行・防衛省参与)。水谷氏は村田氏の側近だ。

13年から19年まで大学院教授5人(私を含む)が定年延長拒否で解雇された。私を解雇した冨田安信社会学部長(当時、産業関係学科教授)はトヨタの労務管理を絶賛する御用学者。
4人が地位確認などを求めて裁判を起こしたが、京都新聞は私の提訴をベタ記事で一度報道しただけ。朝日、読売、毎日と近畿のテレビ局は一字、一秒も報じていない。

同大では、大学院教授だけに認められる65~70歳の定年延長制度(差別的特権)を維持するため、65歳で定年になる教職員には5年間、月約20万円の闇年金を給付している。大学の一般予算(血税も入っている)から出ている。全く働かないのに年間約240万円をもらっている。

http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi-support/archives/13299334.html

飲酒運転事故を起こし逃げた法学部教授は3カ月の停職で復帰し、定年延長になった。メディア学科の渡辺武達教授(15年、名誉教授)は大教室でAV(ビデ倫・広報ビデオ、20秒)を音声付きで見せて学生たちが抗議した。小黒純教授は「ゼミはバイト、サークルで疲れた学生の癒しの場」と公言し、授業中にテニスボールやフリスビーを学生に投げて受講生にけがをさせた。偽装公募・コネ採用の河﨑吉紀教授の授業はつまらなくて誰も聞かない。佐伯順子教授は「来週水曜日のゼミは風邪で休講」と連絡し、東京のダイワハウスで講演した。竹内長武教授は中国人留学生「日本では15年戦争という用語は使わない」「日本の戦時中に漫画文化は花開いた」と教えていた。

それでも、誰も処分されていない。

学校法人同志社も幼稚園から大学まで4万人を超える学生・生徒らが学ぶマンモス学園だが、2005年に「学校法人同志社のパートナー」企業として、「株式会社 同志社エンタープライズ」を設立した。日大と全く同じ手口だ。

https://www.doshisha-ep.co.jp/company/

同志社エンタープライズは16年1月から2月にかけて大学関係者9人が逮捕された“ゴミ無許可収集”事件の舞台となった。私が定年延長拒否で不当解雇された1年半後のことだ。京都新聞によると、逮捕された同社社員の1人は「学校法人に利益を還元するために会社をつくった」と供述していた。京都府警は、ゴミ収集事業で得た利益が寄付金として同志社に還流していたとみて捜査した。逮捕容疑は15年11月、市の許可を受けず、同大今出川キャンパスや学生寮などの8カ所から出た紙くずなどのごみ約900キロを収集し、伏見区の市南部クリーンセンターへ運搬した疑いだった。京都市は12年10月以降、同志社と同社などに無許可収集を改善するよう計7回、指導していた。行政の警告を無視して3年間も犯罪を繰り返していたのだ。

https://www.christiantoday.co.jp/articles/19240/20160218/doshisha-university.htm

http://kyoto-seikei.com/hp/2016/01/19/%E5%BB%83%E6%A3%84%E7%89%A9%E5%87%A6%E7%90%86%E6%B3%95%E9%81%95%E5%8F%8D%EF%BC%9A%E5%90%8C%E5%BF%97%E7%A4%BE%E5%A4%A7%E3%82%92%E5%AE%B6%E5%AE%85%E6%8D%9C%E7%B4%A2%E3%83%BB%EF%BC%96%E4%BA%BA%E9%80%AE/

https://www.sankei.com/photo/story/news/160119/sty1601190005-n1.html

逮捕されたのは、学校法人同志社の法人事務部長で、「同志社エンタープライズ」の社長だった北幸史氏ら。北氏は私を解雇した当時の学校同志社の事務方トップだった。

この事件で、同志社は16年3月15日、京都簡裁から産業廃棄物法違反で罰金百万円の略式命令を受け、同大の山下利彦施設部長も罰金刑を科された。また、文科省はペナルティとして、15年度の国庫補助金を25%減額した。同志社は年間約30億円の私学助成金を受け取っており、約9億円(同大・7億5千万円、同志社女子大・1億5千万円)の減収となった。

戦後、日本の大学を運営する学校法人が刑事罰を受けたのは初めてだ。

水谷理事長(当時)は何の処分も受けず、何と17年4月まで理事長職を続けた。文科省はこれに激怒した。

9人の逮捕者を出した事件なのに、正式な裁判が開かれない略式起訴、罰金刑で終結したのは、村田氏に近い安倍官邸・公安警察官僚の捜査妨害があったと私は見ている。「同志社大学 浅野健一教授の労働裁判を支援する会」のブログに<安倍・村田会食後に罰金刑で終結した同大産廃事件>と題して記事を書いている。

http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi-support/archives/5704604.html

16年1月26日、村田氏は安倍首相と2時間19分会食している。近畿大学の元理事長の世耕弘成官房副長官(現在、自民党参院幹事長)が同席。会食直前に、「官邸のアイヒマン」と呼ばれている北村滋・内閣情報官(国家安全保障局長を経て今年7月退任)が首相と会っている。

http://ittewaikenai-daigaku.blog.jp/archives/15948020.html

村田氏は15年7月の戦争法案に賛成する国会での公述で、同年11月の学長選挙に敗れ、1期3年で学長を辞めた。その後、八田英二元学長(1998年から2013年まで、3期15年も学長)派の学長が続いている。八田氏は14年に総長選に敗れたが、17年総長に就任。18年には水谷氏の後任の理事長に就任。以降、理事長と総長を兼任し、同志社のドンになっている。八田氏は閑職にあった15年9月に高野連会長に就任。総長、理事長になった後も続け、何と6年も続けて、間もなく退任する。コロナ禍で困窮している学生のことを考えていれば、高野連会長など兼任できるはずがない。

同志社大学のHPにある八田総長の経歴だ。

[ 1949年生まれ
1971年  同志社大学経済学部卒業
1973年  同志社大学大学院経済学研究科修士課程修了(経済学修士)
1985年  同志社大学経済学部教授 (2019年~同志社大学名誉教授)
同志社大学経済学部長、同志社大学大学院経済学研究科長、同志社大学長、
学校法人同志社理事長を歴任
2017年  学校法人同志社総長 ~現在
     学校法人同志社理事長 ~現在
http://www.doshisha.ed.jp/message/profile.html

八田氏は学長時代の11年から13年まで理事長も務めている。

これだけ長い間、同大のトップを務め、しかも総長と理事長を兼ねているのは異常だ。

日大には改革派の会があるが、同志社にはない。学生自治会も03年に解散したままだ。

出原政雄、浜矩子(ビジネス研究科の山口薫教授解雇の首謀者)、岡野八代、板垣竜太、太田肇、富山五郎各教授ら、共産党や新左翼系のメディアに頻繁に登場する「左翼・リベラル」教授たちは、世界でも稀な同大の犯罪行為にずっと沈黙している。彼らは5人の教授の定年延長拒否事件でも沈黙を貫いた。板垣氏は15年秋ごろ、私の裁判を支援していた学生たちに、虚偽情報をばらまき、「大学と裁判中の浅野には関わらない方がいい」と働きかけた。学生も、私を支援してくれた約10人以外は動かない。

同志社大学教職員組合(私は1997年の委員長)は「学部の自治に介入できない」を理由に、解雇された私の支援はしないと公言。当時の委員長は副学長に就任。今は、渡辺グループの御用経済学者の新関三希代教授が副学長。

同大は、この事件を反省し、再発防止策を取る作業をしていない。同大の闇は日大より深いと私は思う。

同志社大学は行ってはいけない大学である。

http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi-support/archives/5704604.html

http://ittewaikenai-daigaku.blog.jp/archives/15948020.html



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浅野健一 
1948年、香川県生まれ。1972年、慶大経卒。同年から94年まで共同通信記者。94年から2014年まで同志社大学大学院教授。20年4月、下咽頭がんで咽頭・喉頭の全摘手術を受け身体障害者(失声)となり、「無声ジャーナリスト」として活動している。記者時代の1984年に『犯罪報道の犯罪』を発表。『記者クラブ解体新書』『安倍政権・言論弾圧の犯罪』など著書多数。

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